絶景を求めて。
初めて訪れたその場所はお遍路さんで賑わう弘法大師ゆかりの地だった。
お目当てのロープウェイ発車時刻まで少し時間があるのであたりを散策することにした。
すぐそばを流れる那賀川は先日の大雨で濁ってこそいたものの、どこまでも広がるような空と新緑に包まれ、晴れた日はさぞ美しいのだろうと想像できる。
建物入口にある赤い橋の下にはたくさんの鯉がおり、人がのぞき込むとこちらに集まってきてくれた。
立派な鯉が口をパクパクさせ集まってきてくれる様子を眺めていると某国民的アニメのお魚の女の子を思い出さずにはいられなかったが、時間も迫ってきたので後ろ髪をひかれながらもそこを後にした。
いよいよ乗車する。ロープウェイは通常20分間隔で運行しており、私が乗った便は比較的すいていたので座席に座ることもできたが、定員100人とのことで電車のようにつり革もあった。
動き始めると想像よりスピード感があり、少し力が入ってしまう。
どんどんと小さくなる目下の景色を眺めながら、この距離をロープウェイなしで上っていたころのお遍路さんを思う。遍路ころがしと呼ばれていたというこの山道。さぞ厳しい難所であっただろう。
山頂までは11分とのことであっという間についてしまった。
降り立った先は、空気がひんやりとした別世界だった。
四国88か所第21番札所の舎心山太龍寺、樹齢数百年という巨杉に覆われ、本堂・大師堂・などが点在する壮大なスケールだ。
運動不足が否めない足取りで、石の階段を一歩ずつ登る。上がってくる息とはうらはらに、心がしんと鎮まるような不思議な時間だった。
復路の乗り場では、特産品の「きのこ茶」がふるまわれていた。絶妙な塩加減と風味が疲れた身体に染み渡っていく。お茶というより、スープとして食卓に並んでもいいほどの物だった。
往路からトータルで1時間ほど、徳島市内からも車で1時間ほどの旅、余裕を見ても3時間あればこの体験ができる。私自身、初めて訪れた場所だったが、今後気軽に訪れることのできる癒しスポットの1つになりそうだ。
< 道の駅情報 >
鷲の里の詳細はこちら